石川県白山市・百四丈滝

注意!!

この百四丈滝へのルートは非常に危険を伴います。冗談ではなく、ちょっとミスすれば簡単に死ねます。装備として沢靴は当然として、ザイルも必須です。決して安易な気持ちでは行かないようにしてください。もし、このリポートを参考に行って事故があっても、私はなんの責任も負いません。

☆プロローグ

百四丈滝…それは私にとってのあこがれの滝だった。この滝を知ってから十数年、いつか逢いに行きたいと思っていたし、私の滝行きの最終目標ですらあった。そんな百四丈滝へついに行く機会がやってきた。一人ではとても行けない場所だったが、TVの滝通選手権で知り合ったBALさんと共に行けることになったのである。これはその滝行きのリポートである。


→全体GPSルートマップ(別ウインドウ)

※なお、この2年後にあたる2009年に尾根ルートにて再訪したので、そちらも参考にしていただきたい。

午前3時30分。まだ闇に包まれた新岩間温泉を出発する。入渓地点までは林道が続いているが、ゲートが閉まっていて車を乗り入れることはできないため、ここから歩きとなる。今回、非常に長い行程が予想されたので、少しでも時間を有効に使うため、夜明け前からヘッドランプをつけて歩く事にした。

林道はよく整備されていて、ヘッドランプで歩くのに何の不安もなかった。途中、何ヶ所か左手の崖から湧き水が流れており、のどを潤すこともできた。ちなみに今回1リットルの水を持ってきていたが、丸石谷本流の水もきれいで飲む事ができたし、結果的にはこれだけの水は不要であった。

午前5時30分。徒歩2時間ほどで丸石谷の入渓地点に到着した。工事の作業道を通って谷に降り、堰堤を渡った対岸で沢歩き用に装備を整える。ここまでのアプローチに履いていた靴を岩陰にデポし、沢靴を履く。準備を終えたあたりでちょうど夜が明け、谷を歩ける状況になった。先は長いので休憩もそこそこに出発する。

丸石谷は広大であった。巨大な岩が累々と谷を埋め尽くし、遙かな右岸の高みからは細い滝が落下していた。谷の幅に対して水量は少ないので、徒渉にはなんの不安もなかったが、全身を使って大岩を登る場面も多く、思ったより遡行ははかどらない。そして延々と似たような景色の中を歩かなければならないのは辛かった。ただ、特に危険と思う場所はなかった。

午前8時30分。谷が大きく右へ曲がると、ようやく景色に変化がでてきた。目の前に三段滝があらわれたのだ。さて、この滝を登るわけだが、その前に一休みしつつルートを観察する。この上には黒滝があるはずなので、全体の高巻きルートとしてはなんともいえないが、とりあえず左壁(右岸)の途中にあるバンドをトラバースするのだろうと予想した。

三段滝へ近づくと左手のガレ場にロープが下がっていたので、強度を確認しつつこれを登る。登り切ってロープの支点を見ると、いかにもか弱そうな若木だった。よくこんなガレ場に一本だけ生えていたものだと感心するが、いつか抜けてしまうのではないかと思える状態であった。

ロープを登ると踏跡があり、これを辿ると予想通りのルートで三段滝の上に出た。“落ちたら最後”の滑りやすい草付斜面を恐る恐る進むと、目の前に黒滝が立ちはだかった。名前の通りの黒い岸壁を直下する、落差約20mの滝である。普通ならば素晴らしいと感じられるような堂々とした滝なのだが、百四丈滝を目指す者には行く手を阻む厄介な存在だ。ここの高巻きが唯一、そして最大の難関となる。


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