長野県山ノ内町・澗満滝


注意!

澗満滝滝壺へのルートは一部危険を伴います。このリポートはあくまで経験者のための参考に書いたものであり、未経験者が気軽に行けるような場所ではありません。万が一このリポートを参考にして滝壺へ行き、事故があったとしても責任は一切負いません。


澗満滝滝壺へのルートマップ
この地図は国土地理院の「ウォッちず」を使用して作成しました。
ただ「ウォッちず」の澗満滝付近の表現が不正確だったため、改変を加えてあります。

澗満滝は落差107mで、直瀑では長野県一とも言われている名瀑。志賀高原という観光スポットにあり、それなりに有名なのですが観瀑台は滝から700mも離れた場所にあり、迫力など全く伝わってこないのです。そこで滝壺まで行くというプランが立ち上がるのは、自然な成り行きだったといえます。

午前6時、観瀑台到着。早朝なのでまだ誰もいない静かな観瀑台です。とりあえず遠望ですが数枚撮影。やはりあまりにも遠くて、この滝の魅力の十分の一も伝わってこない感じです。

滝への降り口は、観瀑台への横にある炭焼窯から、笹の斜面を登り詰めたあたりです。別に目印があるわけではないので、地形を読んで降りられそうな所の見当をつけます。まあ、ここで見当を付けられない人は、経験不足なので行かないでくださいって事で。

降り口から少し斜面を下った地点。この場所までは木につかまりながら降りられる。問題はここから下へ降りる所なのですが、傾斜45度くらいのザレたルンゼになっていて、木は少なく岩も脆いのでしっかりつかまれる物がないのです。私はフリーで降りましたが、もし滑落すると下まで止まらない恐れが強いので、ここはザイルを出した方が安全でしょう。私も出したかったのですが、ザイルを一本しか持っていなかったので、後でこれ以上の難所がある事を考え温存したのです。結局その後はザイルを出すような難所はなかったので、使うべきだったのですが…まあ結果論ですね。

このルンゼをフリーで降りました。写真で見るとそうでもないように見えるかもしれませんが、実際に行くとかなりの危険を感じます。ザレのため靴もホールドしないし、登りも苦労しました。今度行く時は、ここでザイルを使い、帰りまで残しておくつもりです。ザイルさえあれば、特に危険もなく上り下りできるでしょう。もちろんそれなりの経験者なら、ですが。

その後は特に難所もなく、やや下り気味にトラバースしていきます。途中小尾根やルンゼを何度か横断します。尾根は木がしっかりと生えており問題ないですが、ルンゼは腐葉土がとても滑りやすいので、慎重に横断しましょう。もし滑ると簡単には止まりませんし、運が悪いと谷底まで落ちてしまいますので…。

限界までトラバースを続けると、自動的にこの小滝の下に辿り着きます。この滝は小規模ながら枝沢も滝となって一つの滝壺に落下するので、「両門の小滝」(仮名)としてみます。

この滝は右側から簡単にこえられますが、登山靴ではさすがに滑るので、ここで沢靴に履き替えた方がよいでしょう。

写真ではわかりにくいですが、小滝の奥、木の葉越しに澗満滝が見えており、もう少し!と思うとテンションが上がってきます。

午前8時。ついに姿を現した澗満滝の勇姿。遙か離れた観瀑台からは決して感じる事のできない力強さを、体全体で感じる事ができました。やはり滝は滝壺へ行ってこそ価値があるんだなあと、改めて実感できる滝でした。

ちなみに、滝壺らしい滝壺はありません。落差が高く、水は途中で霧状になるため、滝壺が形成されないのでしょうか。そのため、規模の割には滝音も静かです。


帰りは来たルートをそのまま戻る事になります。行きはルートを確認しながらだったので2時間ほどかかってしまいましたが、帰りは1時間半で戻れました。最初のルンゼでザイルを使えば更に早く、滝壺まで1時間ちょっとで行く事ができると思います。


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